食後の胃痛とは
食事をすると、胃が痛くなったり、お腹が張って苦しく感じたりした経験はありませんか？
通常は消化が進むにつれて不快感は治まりますが、いつも通りの量を食べただけで胃が痛くなる場合は注意が必要です。
食後の胃痛は、生活習慣の乱れやストレス、ピロリ菌感染など、さまざまな原因で起こることがあります。
心窩部痛
(みぞおちの痛み)とは
心窩部痛とは、食道の下部から胃や十二指腸のあたりに起こる「みぞおちの痛み」のことです。
消化管には痛みを感じる神経が少ないため、粘膜が直接刺激されても痛みを感じにくく、実際には胃酸過多による胃の粘膜の炎症などによって痛みが現れます。
食後の胃痛の主な原因
自律神経の乱れ
ストレスや不規則な生活で自律神経が乱れると、胃の働きが低下したり、胃酸が過剰に分泌されたりして胃痛が起こることがあります。
食生活の乱れ
暴飲暴食、脂肪分や刺激物の多い食事、早食いなどは胃に大きな負担をかけます。
過剰な胃酸分泌により胃粘膜が傷つき、炎症や痛みを起こすことがあります。
ピロリ菌感染
ピロリ菌に感染すると、胃の粘膜に炎症を引き起こし、慢性胃炎や胃潰瘍・十二指腸潰瘍に発展することがあります。
胃痛のほか、胃もたれ・げっぷ・食欲不振などの症状を伴うこともあります。
当院では、ピロリ菌検査と除菌治療を行っています。
血糖値スパイク
(隠れ糖尿病)
食後に血糖値が急上昇・急降下する「血糖値スパイク」が、胃痛やだるさの原因になることがあります。
糖質を多く摂る食事を続けている場合は、隠れ糖尿病の可能性もあります。
胃痛を引き起こす主な疾患
胃がん
初期は自覚症状が少なく、進行すると胃痛、胃もたれ、吐き気、黒色便が現れます。
症状がないことも多いため、早期発見には定期的な内視鏡検査（胃カメラ）が重要です。
機能性ディスペプシア
さまざまな検査で明確な異常が見つからないのに、胃痛や膨満感、吐き気などの症状が続く病気です。
主な原因はストレスや生活リズムの乱れなどにより、胃や腸の動きが悪くなることが原因とされています。
胃痛の検査方法
| 問診 | 症状の経過や生活習慣、服用薬などを詳しく確認します。 |
|---|---|
| 血液検査 | 感染や炎症の有無を調べます。 |
| 超音波検査 (エコー) |
肝臓や胆のう、膵臓などの内臓の状態を確認します。 |
| 内視鏡検査 (胃カメラ検査) |
食道・胃・十二指腸の粘膜を直接観察し、必要に応じて組織検査やピロリ菌検査を行います。 |
日常生活でできる胃のケア
- 1日3食を規則正しく摂る
- よく噛んで腹八分目に抑える
- 濃いコーヒーは控え、ミルクを加えて刺激を緩和する
- 香辛料などの辛いもの・塩辛いもの・アルコール・喫煙を控える
- 睡眠をしっかりとり、休息時間を確保する
- 軽い運動や腹筋強化で胃の働きをサポート
食後の胃痛は、生活習慣やストレス、ピロリ菌感染など、さまざまな要因で起こります。
一時的なものと放置せず、症状が続く場合は早めに医療機関を受診しましょう。
当院では、胃カメラ検査やピロリ菌検査を行い、原因をしっかりと調べたうえで適切な治療を行っています。
食後の胃痛のよくある質問
胃が痛いのに食欲があるのはなぜ？
「胃が痛いのに食欲がある」のは、食欲が脳で感じられる感覚だからです。お腹がすくのは胃が健康という証拠ではなく、胃が炎症を起こしていても脳が「食べたい」と感じることがあります。胃の痛みがあるということは、胃粘膜が傷ついている・炎症が起きている可能性があり、放置すると悪化するおそれもあります。ピロリ菌感染などが原因のこともあるため、胃痛が続く場合は早めに医療機関で検査・受診しましょう。
胃痛とおならの関係はある？
胃が痛いときには、胃の粘膜に炎症が起きている、胃酸が過剰に分泌されている、あるいは胃の動きが弱まっているといった状態が考えられます。 その結果、食べ物が胃の中に長くとどまりやすくなり、胃内でガスが発生したり、消化が十分ではないまま腸に送られて、腸内で発酵ガスが増えることがあります。 胃痛とおならは別々の症状のように思えますが、どちらも胃や腸などの消化管全体の働きが乱れていることが背景にある場合があります。
胃痛がどのくらい続いたら病院に行くべき？
胃痛を引き起こす原因はそれぞれですが、胃痛が一時的なものである場合はそこまで心配する必要はありません。一方、3日間以上続いていたり、くりかえす胃痛は何らかの消化器疾患が隠れている可能性があるため、受診を強くお勧めします。 また、冷や汗をかくような激しい胃痛、嘔吐や黒色便を伴う胃痛、発熱を伴う胃痛、食あたりが考えられる胃痛などはすぐに受診する必要があります。
胃痛の時の痛み止めに、ロキソニンは飲んでいい？
胃痛の時は、ロキソニン・イブプロフェン・ボルタレンなどのNSAIDｓを自己判断で服用するのは避けましょう。NSAIDsは胃を守るプロスタグランジンという物質を減らし、胃粘膜を刺激して痛みを悪化させる可能性があります。そのため、胃痛の時の痛み止めとしては、症状の悪化リスクが少ないアセトアミノフェンをお勧めしています。
胃痛のとき、コーヒーを飲んでいい？
胃痛がある時、コーヒーを飲むのは、避けた方が良いです。コーヒーに含まれるカフェインやクロロゲン酸は胃酸分泌を促すため、胃痛を悪化させます。また、空腹時に飲むことは、より胃に強い刺激となる恐れがあります。 どうしても飲みたいという場合には、空腹時を避けたり、牛乳を足して飲むことをお勧めします。 胃痛の時に好ましい飲み物は、白湯や常温水、ノンカフェインのお茶がお勧めです。