- おならとは
- おならが作られる仕組み
- おならが発生する原因
- おならで考えられる病気
- おならの予防
- おならを我慢するのは身体に悪い?
- おならを我慢すると口臭に影響?
- おならのにおいを消す方法は?
- おならのよくある質問
おならとは
おならは、腸内に蓄積したガスを排出するための生理現象の一つです。食事を取ると、食べたものが胃や腸で消化される際にガスが発生します。こうして発生したガスの多くは腸管によって吸収されますが、余剰分はおならとして排出されます。
おならが作られる仕組み
おならは、食事の際に過剰に取り込んだ空気や血液内で発生したガス、食べたものを消化する際に発生したガスなどで構成されています。空気や血液内で発生したガスはほぼ無臭ですが、腸内細菌の働きによって発生したガスは臭いを伴います。
正常であれば、おならは1日7〜20回ほど発生し、臭いもあまりきつくはありません。しかし、食事習慣の乱れなどによって胃腸の働きが活発になると、回数が増えたり、悪臭を放ったりするようになります。
おならが発生する原因
悪玉菌の影響
一般的に、おならは腸内に悪玉菌が多いほど臭くなります。悪玉菌は主にタンパク質や脂質を摂取すると増加するため、このような動物性食品を過剰に摂取すると臭いおならが多く出るようになります。
また、脂質の多い食品は消化に時間がかかるため、腸の働きを活発にしておならが多く出るようになります。
食物繊維の影響
食物繊維は、我々の健康を維持するために重要な栄養素の一つですが、消化に時間がかかるために腸内で多くのガスを発生させます。そのため、食物繊維を過剰摂取するとおならの回数も増加する傾向があります。
炭酸飲料の影響
炭酸飲料を飲むと、摂取した炭酸が体内で水と二酸化炭素に分解され、ガスが発生します。そのため、コーラやビールなどの炭酸飲料を過剰摂取すると、多くのおならが出るようになります。
禁煙の影響
長期間喫煙習慣があった人が禁煙すると、しばらくの間は食べ物を過剰に消化分解するため、腸内細菌の活動が活発になり、腸内に多くのガスが蓄積して臭いおならが多く出るようになります。
自律神経の影響
ストレスや睡眠不足は、自律神経のバランスを乱して胃腸の働きを低下させ、通常より消化に多くの時間を要するようになります。これにより、腸内で多くのガスが発生しておならの頻度も増加するようになります。
おならで考えられる病気
慢性胃炎
慢性胃炎とは、慢性的に胃粘膜が炎症を起こす病気で、主な原因はピロリ菌感染です。症状がないことが多いですが、胃痛や胸焼け、げっぷ、吐き気、腹部膨満感などの症状がでる場合があり、おならが多く出ることもあります。
過敏性腸症候群
過敏性腸症候群とは、検査で器質的異常がないにもかかわらず、腹痛や便秘、下痢などの症状を引き起こす病気です。また、腸内に多くのガスが発生して、おならの頻度が増加することもあります。
はっきりとした原因は明らかになってはいませんが、過度なストレスや気候変化などが関与していると考えられています。
大腸がん
大腸がんは初期の段階では自覚症状に乏しいため、本人も気づかないうちに進行しているケースが多く見られます。また、大腸がんは直腸から離れた場所で発生すると、健康診断の便潜血検査でも陰性となることがあります。
主な症状は便秘や下痢、便が細くなる、血便、腹部膨満感などで、腫瘍によって腸が狭窄を起こすとおならが多く出ることがあります。
症状が続く場合には、腸の状態を直接確認できる大腸カメラ検査による精密検査が有効です。原因をはっきりさせるためにも、気になる症状がある方は一度ご相談ください。
おならの予防
食事で善玉菌を増やす
肉類や脂質の多い食品、ネギ類、ニンニクなどを過剰に摂取すると、腸内で多くの悪玉菌が増殖し、臭いのきついおならが多く出るようになります。そのため、おならの臭いがきつい場合には腸内環境を整えるためにヨーグルトなどの善玉菌を多く含む食品を摂取するようにしましょう。
便秘予防
便秘になると、腸内に排出されない便が滞留してガスが発生し、おならが多く出るようになります。そのため、おならの量を減らしたい場合には便秘を改善することが大切です。
以下は、便秘を予防・改善するための主な方法です。
- 頻繁に排便することを心がける
- こまめに水分補給を行う
- 適度な運動習慣を身に付ける
- 適度に食物繊維を摂取する
- おならを溜め込まない
便秘の予防や改善に良い食品として、イモ類や豆類、バナナ、はちみつ、納豆、インゲン豆、きな粉、乳酸菌飲料、ヨーグルトなどがあります。これらを積極的に摂取するよう心がけましょう。また、軽めのウォーキングやジョギング、ヨガなどの運動習慣は、腸の働きを活性化して便秘の改善に繋がります。
ストレス発散
ストレスを溜め込み過ぎると、過敏性腸症候群や機能性ディスペプシアなどの病気を引き起こし、おならが多く出るようになります。
普段からストレスを多く感じる場合には、意識的に趣味の時間を作る、睡眠時間を多く確保するなどして、上手にストレスを発散することを心がけましょう。
おならを我慢するのは
身体に悪い?
おならを溜め込みすぎると腸の働きを低下させて便秘になり、蓄積した便によってガスが発生して更におならの量が増えるという悪循環に陥ります。また、腸内に溜まったおならが血液に溢れて全身をめぐり、体臭や口臭がきつくなるようになります。その他、長期間腸の機能が低下し続けると、腸閉塞などの病気を引き起こす恐れもあります。
そのため、おならは無理に我慢せずに適度に排出するようにしましょう。
おならを我慢すると
口臭に影響?
きつい口臭にはおならが関与していることがあります。便秘などによって腸内に便が滞留すると、インドールやスカトールなどの悪臭成分を含むガスが発生して血液をめぐり、口から吐き出されるようになります。ご家族等から口臭がきついと言われた際には、便秘を改善させ、腸内環境を整えるよう努めましょう。
おならのにおいを消す方法は?
おならのにおいを軽減するためには、腸内環境を整えることが大切です。まず、肉や卵などの動物性タンパク質の摂りすぎを控え、代わりに豆類などの植物性タンパク質を摂取するように心がけましょう。発酵食品や水溶性食物繊維(モロヘイヤ、ごぼう、ライ麦パンなど)を摂ることで、善玉菌が増えて腸内のバランスが整い、臭いの原因物質を減らすことができます。
また、ストレスや睡眠不足は腸の働きを鈍らせるため、軽い運動や十分な休息で自律神経を整えることも重要です。食事と生活習慣を見直すことで、おならのにおいを自然に抑えることができます。
おならのよくある質問
おならは何のにおい?
おならの臭いは主に食べたものに由来します。おならは99%が窒素、水素、酸素、二酸化炭素、メタンなどの無臭ガスで、1%がアンモニアや硫化水素、酪酸、インドール、スカトールなどの悪臭を放つガスで構成されています。このような悪臭を放つガスは主に肉類やネギ、玉ねぎ、にんにくといった硫黄成分を含む食品を多く摂取することで発生するため、おならの臭いがきつい場合にはこれらの食品の過剰摂取は控えるようにしましょう。
おならが臭い原因はなに?
おならの臭いの原因のほとんどは食べ物です。ネギや玉ねぎ、にんにくなどを多く摂取すると、これらの食品に含まれる硫黄成分がインドールやスカトールといった悪臭を放つガスを発生させるため、おならの臭いがきつくなります。また、肉類を多く摂取すると、腸内に悪玉菌が増殖して悪臭を放つガスを発生させます。 その他では、コーヒーを過剰に摂取すると消化機能を低下させておならの臭いがきつくなることがあります。また、アルコールを摂取した際に体内で分解されるアセトアルデヒドも悪臭成分であり、おならの臭いがきつくなる原因の一つです。 おならの臭いがきつい場合には、一度食事習慣や生活習慣を見直すようにしましょう。
おならが臭いと大腸がんの確率が高い?
大腸がんを発症すると腸機能が低下して腸内に便が滞留し、便秘症状を引き起こします。このように蓄積した便が腐敗すると、悪臭を放つガスが発生しておならの臭いがきつくなる傾向があります。 気になる便秘症状が長期間続いている場合には大腸がんの可能性があり、大腸カメラでの精密検査が必要ですので、できるだけ早めに当院までご相談ください。
おならの正常回数はどれくらい?
1日のおならの頻度は人によって個人差はありますが、正常な状態であれば1日7〜20回ほどと言われています。ただし、これはあくまで目安であり、食事習慣や運動習慣、腸内環境などによって異なります。
女性でおならが止まらないのはなぜ?
女性の場合、おならの発生には女性ホルモンが密接に関与していると考えられています。女性が更年期を迎えると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が低下して自律神経のバランスを乱し、おならの量が増えることがあります。また、女性は月経前になると黄体ホルモンであるプロゲステロンの分泌量が増加して腸の蠕動運動を抑制し、ガスが体内に滞留しておならの臭いがきつくなることもあります。

