健康診断・
バリウム検査で
異常を指摘された方へ

健康診断で異常を
指摘された方へ

健康診断で異常を指摘された方へ健康診断の検査結果に異常があった場合、医師から今後の行動についての指示が出ることがあります。指示内容は異常値の程度によって、要経過観察・要再検査・要精密検査・要治療に分かれます。
特に要再検査・要精密検査・要治療の指示を受けた場合には、できるだけ早く検査や治療を行うようにしましょう。放置してしまうと、気づかないうちに病状が進行して命の危険を伴う重篤な病気を引き起こすこともあるため、注意が必要です。


「再検査」は
無視してもいい?

検査結果に何らかの異常値があった場合、医師から再検査の指示が出ます。再検査は義務ではありませんが、自己判断で放置してしまうと、更に症状が悪化して重篤な病気へと繋がる恐れがあります。そのため、医師から要再検査や要精密検査の指示が出た場合には、できるだけ早く受診するようにしましょう。


健康診断の「要経過観察」
「要精密検査」とは

下記は、健康診断を受診した際の主な検査結果です。

「異常なし」

「異常なし」と示された場合は、検査結果が正常範囲内で特に問題がない状態です。引き続きこの状態をキープできるように努めましょう。

「要経過観察」
「要再検査」

検査の結果「要経過観察」「要再検査」と指示を受けた場合は、何らかの数値に異常がある状態です。直ちに治療が必要というわけではないですが、放置すると更に数値が悪化して病気を引き起こす恐れもあるため、早めに医療機関を受診してください。

当院では、「要経過観察」「要再検査」の患者さんに対して、再検査や効果的な生活習慣の改善指導を実施しております。ぜひお気軽にご相談ください。

「要精密検査」

検査結果が「要精密検査」であった場合は、何らかの病気の疑いがある状態です。できるだけ早く詳しい検査を実施し、自身の身体の状態を確認するようにしましょう。

当院では精密検査や2次検査を実施していますので、お気軽にご相談ください。

「要治療」

検査結果が「要治療」であった場合は、何らか病気が発見されて直ちに治療が必要な状態です。速やかに医療機関を受診して治療を開始してください。


健康診断で主に見つかる病気

健康診断では、様々な数値を測定して検査項目ごとに病気のリスクを判定します。以下に、主な検査項目の異常と病気との関係をお示しします。

高血圧(血圧が高い)と
指摘された

高血圧とは、血圧の高い方(収縮期)と低い方(拡張期)のどちらかが正常範囲外である状態です。高血圧状態が長期間継続すると、全身の血管に負担をかけて動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞などを引き起こします。

なお、血圧は測定する場所によって多少数値が異なります。一般的に医療機関で測定するよりも自宅で測定した方が低い数値が出ますが、これは自宅の方がよりリラックスした状態で測定できるからと考えられています。検診や医療機関で血圧を測定した場合、緊張により血圧が高くなってしまうことがありますので(いわゆる「白衣高血圧」)、自宅で測定した血圧の方が大切です。自宅で朝食前と寝る前にそれぞれ血圧を測定し、記録したものを持参していただけると、血圧の薬を飲んだ方が良いのかどうかの判断がしやすくなります。

糖尿病(HbA1c・血糖値が
高い)と指摘された

HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)とは、直近2-3カ月の血糖値(血液中のブドウ糖濃度)の平均値を算出した指標で、この数値が正常範囲外になると糖尿病の発症リスクが高まります。糖尿病は全身の血管に負担をかけ、動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞などの他、様々な合併症を引き起こす恐れがあります。
糖尿病の三大合併症として挙げられるのが、糖尿病網膜症・糖尿病腎症・糖尿病神経障害です。糖尿病網膜症は視力低下や失明を、糖尿病腎症は腎不全を、糖尿病神経障害は下肢切断などの重篤な症状へと進行する恐れがあり、注意が必要です。

脂質異常症
(コレステロール値が高い)と指摘された

血液検査では悪玉コレステロール(LDLコレステロール)・善玉コレステロール(HDLコレステロール)・中性脂肪の値を測定することができます。
悪玉コレステロール(LDLコレステロール)や中性脂肪が基準範囲より高い、もしくは善玉コレステロール(HDLコレステロール)が基準範囲より低いと、脂質異常症の疑いありと診断されます。
脂質異常症は、主に高カロリー・高脂質な食事習慣や運動不足などが原因で引き起こされます。そのため、これらの数値が異常値だった場合には、生活習慣の改善指導を実施し、必要時は薬の処方を行います。

高尿酸血症・痛風
(尿酸値が高い)と指摘された

血液検査では尿酸値を測定することができます。尿酸値が基準範囲より高い高尿酸血症の方は、痛風発作、尿路結石、痛風腎などの病気の発症リスクが高まります。
尿酸値が高まる主な原因は、過度な飲酒習慣などの食事習慣の乱れや運動不足です。特にビールに含まれるプリン体は尿酸値の上昇を招くため、尿酸値の改善にはまずは禁酒や節酒の他、食事習慣の見直しや運動習慣の取り入れなどが大切です。必要時は薬の処方を行います。

貧血と指摘された

貧血かどうかを調べる数値として、血液中の赤血球の数やヘモグロビンの数の他、血液中の赤血球の容積の割合を示すヘマトクリットなどが挙げられます。これらの数値に異常がある場合は、貧血が疑われます。
貧血の主な原因としては、鉄分不足や消化管からの出血、婦人科疾患による出血などが考えられます。また、稀なケースとして血液を生成する機能の障害もあります。貧血がある場合には、胃がんや大腸がんが隠れていることがありますので、内視鏡検査(胃カメラ、大腸カメラ)をおすすめします。

肝機能障害
(肝臓の数値を指摘された)

肝臓の状態を確認するための数値として、AST(GOT)・ALT(GPT)・γ-GTP・ALP・ビリルビンが挙げられ、これらの数値が基準範囲外の場合には肝臓機能異常の疑いがあります。肝臓機能異常の主な原因としては、過度な飲酒や肥満などの生活習慣の乱れによる脂肪肝の他、B型肝炎やC型肝炎、自己免疫性肝炎などの病気があります。薬や健康食品、サプリメントが原因となることもあります。

肝臓・胆道・
膵臓内科

メタボリックシンドロームと指摘された

メタボリックシンドロームと指摘された血圧や血糖値、コレステロール値を総合的に診断し、異常がある場合にはメタボリックシンドロームの疑いありと診断します。
診断結果は、「基準該当」「予備軍該当」「非該当」「判定不能」の4種類で判定され、「基準該当」「予備軍該当」と診断された場合には生活習慣の改善指導や治療を行います。

メタボリックシンドロームは、放置すると高血圧や脂質異常症、糖尿病、動脈硬化などを引き起こし、更に進行すると脳卒中や心筋梗塞などの命の危険を伴う重篤な病気を引き起こす恐れもあるため、注意が必要です。

便潜血陽性と指摘された

便潜血検査とは、便に血が混じっているかどうかを確認する検査で、主に大腸がんのスクリーニング検査として実施されます。
痔でも便潜血検査で陽性となることがありますが、消化管からの出血や大腸ポリープ、大腸がんの可能性もあります。便潜血陽性の精密検査で大腸カメラ検査を行った場合、約4%で大腸がんが見つかり、約50%で大腸がんの芽である大腸ポリープが見つかると言われており、便潜血陽性を指摘された場合は、大腸カメラ検査が必須です。

大腸ポリープや大腸がんの有無は大腸カメラ検査で調べることが可能で、検査中に大腸ポリープがあった場合や疑わしい病変が発見された場合には、そのまま大腸ポリープ切除を行うことや病理検査にかけて更に詳しく調べることもできます。

便潜血検査
(陽性と指摘された)

尿検査で尿糖・尿タンパク・尿潜血と指摘された

尿検査において、尿中のブドウ糖やタンパクの値が基準範囲より高い、もしくは尿中に血液が混入している場合には、糖尿病や尿路感染症、尿路結石、腎炎、腎機能障害、悪性腫瘍などが疑われます。特に激しい痛みなどの自覚症状が現れている場合には、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。
ただし、尿検査は直近の食事内容によって変化するため、検査で異常値が検出されても特に問題がないケースもあります。いずれにせよ、尿検査で異常値があった場合にはできるだけ早めに再検査や精密検査を行うようにしましょう。

心電図検査で異常と
指摘された

心電図検査では心拍の状態を確認することができ、波形の異常があった場合には何らかの心疾患を引き起こしている可能性があります。考えられる主な心疾患として、不整脈や狭心症、心筋梗塞、心肥大などが挙げられます。すでに動悸や息切れ、息苦しさなどの症状がある場合には早急に治療を行う必要があります。また、自覚症状がない場合でも病気が隠れている恐れがあるため、できるだけ早めに医療機関を受診して精密検査や治療を行うようにしましょう。

胸部レントゲン検査で
異常と指摘された

胸部レントゲン検査では主に呼吸器(肺)や循環器(心臓)の状態を確認することができるため、画像に異常が検出された場合には何らかの呼吸器疾患や循環器疾患が隠れている可能性があります。病気が疑われる場合には、胸部CT検査などでさらに詳しく調べる必要があります。

主な呼吸器疾患や循環器疾患として、肺炎、肺がん、肺結核、心不全、胸部大動脈瘤などが挙げられます。病気によっては、初期の段階では自覚症状に乏しく、気づかないうちに進行してしまうこともあるため、健康診断等で定期的に胸部レントゲン検査を受け、常に自身の身体の状態を確認しておくことが、病気の早期発見や早期治療において有効です。
なお、検査の結果、胸部CT検査が必要と判断した場合には、当院と連携する高度医療機関をご紹介いたします。


バリウム検査で
異常を指摘された方へ

バリウム検査とは、胃や食道、十二指腸に異常がないかを調べる画像検査です。胃がんや食道がんの疑いがある場合にも行われますが、あくまでスクリーニング検査のために確定診断することはできません。バリウム検査で異常を指摘された場合には、胃カメラ検査によって胃粘膜を直接観察し、詳しく調べる必要があります。
胃カメラ検査では、疑わしい病変が発見された際には胃粘膜の組織を採取して病理検査にかけ、確定診断に繋げることができます。また、ピロリ菌感染が確認された際にはピロリ菌の除菌治療を行うことも可能です。

胃カメラ検査

バリウム検査で
何が分かる?

萎縮性胃炎

萎縮性胃炎とは胃の粘膜が炎症を起こして薄くなり、胃の働きが低下する病気です。主な原因はピロリ菌感染です。萎縮性胃炎がある方は胃がんになる危険が高くなりますので、注意が必要です。

透亮像(とうりょうぞう)

透亮像とはバリウム検査の際に黒く映る像のことを指し、主に胃粘膜に低い隆起した部分があった際に検出されます。食事などで一時的に気泡が溜まると映り込むことがありますが、中にはポリープや胃潰瘍、胃穿孔などが原因の場合もあります。

粘膜不整(胃小区の乱れ)

粘膜不整とは、胃の粘膜の表面にザラザラとした凹凸が形成されている状態です。主な原因はピロリ菌の感染で、ピロリ菌によって胃粘膜が慢性的に炎症を起こした場合に認めます。ピロリ菌は放置すると萎縮性胃炎を起こし、胃がんや胃・十二指腸潰瘍になる危険が高くなります。できるだけ早めに胃カメラ検査を受け、除菌治療を行うことが大切です。

ひだ集中

ひだ集中とは、胃粘膜のひだが一点に向かって集まっている状態です。バリウム検査でひだ集中がある場合には胃潰瘍や胃がんなどの病気が疑われますが、潰瘍瘢痕という胃潰瘍が治癒する過程の痕によって引き起こされることもあります。

ひだの肥厚(腫大)

ひだの肥厚とは、胃粘膜のひだが通常よりも太くなっている状態です。原因として、胃炎などによる胃粘膜の炎症や胃がんが挙げられます。

粘膜下腫瘍

粘膜下腫瘍とはポリープやがんなどのように粘膜表面ではなく、粘膜の下に発生する腫瘍を指します。良性のものから悪性のものまで様々で、経過観察が可能なものもあれば、手術が必要なものもあります。粘膜下腫瘍はさまざまなパターンがありますので、胃カメラ検査で詳しく調べる必要があります。

壁外圧排

壁外圧排とは、肝臓や膵臓、大腸などの胃の周りの臓器が胃を外側から圧迫することによって胃の内側が変形している状態です。胃が壁外圧排を起こしている場合には、肝臓や膵臓、大腸などに腫瘍などの何らか病変がある可能性があります。バリウム検査で壁外圧排が認められた場合には、腹部超音波検査やCT検査などの精密検査を行い、更に詳しく調べる必要があります。なお、CT検査が必要と判断した場合には、当院と連携する高度医療機関をご紹介いたします。

バリウム検査での異常を、
放置していませんか?

バリウム検査で異常を指摘された場合には、胃がんや食道がんといった命の危険を伴う重篤な病気の可能性もあるため、自己判断で放置することなくできるだけ早めに医療機関を受診するようにしましょう。