過敏性腸症候群とは
過敏性腸症候群は、ストレスや乱れた生活習慣などにより、腹痛や便秘・下痢を繰り返し起こしてしまう疾患です。
過敏性腸症候群の発症機序は明確には解明されていませんが、過敏性腸症候群はストレスと深い関係があり、ストレスを感じた際に分泌されるストレスホルモンが腸の働きを悪くし、過敏性腸症候群を引き起こすと考えられています。また、生活習慣の乱れや小腸や大腸の機能低下とも関連があると言われています。
過敏性腸症候群の症状
- 数週間~数か月間、腹痛や腹部の不快感が続いている。
- 数か月間にわたり、便秘や下痢を繰り返している。
- 腹痛は排便した時だけよくなる。
- ストレスを感じると症状が悪化する。
- 排便が不規則に起こる。
- 排便後でも残便感がある。
慢性的に腹痛や下痢・便秘が続き、下痢や便秘を何度も繰り返してしまいます。寝ている時はお腹の症状はなく、排便すると一時的に腹痛が改善することもあります。他には、おならが頻繁に出る、おなかが張る、おなかがよく鳴るといった症状もあります。
過敏性腸症候群の分類
過敏性腸症候群は症状により、下痢型、便秘型、混合型の3つに分けられます。
下痢型
下痢型は、水のような下痢と絞られるような痛みがあり、頻回に(1日3回以上)トイレに行きたくなります。特に学校や外出先ではトイレのことが気になってストレスになるため、そのストレスによりさらに症状が悪化してしまうことがあります。
便秘型
便秘型は、若い女性に多いです。腸がけいれんしたようになり、腸がうまく動かなくなることで便秘になってしまった状態です。ウサギの糞のようなコロコロした小さな便しかでない、排便してもスッキリしない、排便時に絞られるような痛みがある、強くいきまないと便がでないなどの症状があります。
混合型
混合型は、下痢と便秘を繰り返します。強い腹痛を伴うこともあります。
過敏性腸症候群の原因
発症機序ははっきりとは解明されていませんが、ストレスや強い緊張、腸内細菌、遺伝的要因、腸粘膜の炎症などが過敏性腸症候群の発症に関与していると考えられています。
過敏性腸症候群の検査
まずは問診を行い、詳しく症状をお尋ねします。その後、血液検査、腹部超音波検査、内視鏡検査(大腸カメラ検査)を行います。過敏性腸症候群の診断には、検査で異常がないことを証明する必要がありますので、潰瘍性大腸炎、クローン病といった炎症性腸疾患や大腸がんなどがないかを検査します。
過敏性腸症候群の治療
生活習慣の改善
栄養バランスのよい食事を心がけましょう。海藻類やキノコ類、バナナなどの繊維が豊富な食べ物を多く摂取するよう心がけましょう。
便秘の方は、腸内細菌を整えるために、乳酸菌が多く含まれる食べ物がおすすめです。
下痢をしている場合は、冷たい飲み物は控え、常温もしくは温かい飲み物をこまめに飲むようにしましょう。また、十分な睡眠や適度な運動などでストレスを溜めないにすることも大切です。
過度のアルコールや刺激が強い食べ物は、腸の調子を崩しますので、控えましょう。また禁煙に取り組むことも大切です。
薬物療法
生活習慣の改善に加え、薬での治療を行います。
過敏性腸症候群の症状に合わせて、腸内環境を整える整腸剤や消化管運動を調整する薬などの内服を行い、腸の調子を整えます。痛みなどのつらい症状がある場合には症状を改善する薬も併せて内服します。
過敏性腸症候群と強い
関連性がある食べ物
“FODMAP”
最近の研究で、食事内容が過敏性腸症候群の病状の進行に深くかかわっていることが分かってきました。
FODMAPは、発酵性、オリゴ糖、二糖類、単糖類、糖アルコールの英単語の頭文字をとって名付けられた呼び名です。FODMAPは、発酵していて小腸で消化吸収されにくい食べもののことです。
「高FODMAP食品」の食べ過ぎは腹痛、便秘、下痢などの過敏性腸症候群の症状が悪化することが分かっています。 毎日の食事内容を記録し、高FODMAP食品を食べ過ぎていないかをチェックしましょう。食事内容とおなかの症状の程度を観察してみるとよいでしょう。
低FODMAP食
- 牛肉、鶏肉、豚肉、魚、卵
- 米、玄米、フォー、ビーフン、十割蕎麦
- 木綿豆腐
- トマト、ホウレンソウ、ダイコン、
カボチャ、ジャガイモなどの野菜 - メープルシロップ
- マーガリン、バター
- 緑茶、紅茶
高FODMAP食
- たまねぎ、アスパラガス、ニラ、
長ネギ、サツマイモなどの野菜 - パン、ラーメン、うどん、パスタなどの小麦粉製品
- ソーセージ
- 納豆、豆乳、大豆
- はちみつ
- 牛乳、ヨーグルト
- ウーロン茶
- アイスクリーム、チョコレート

