便秘が続く

こんな症状で
お悩みではありませんか?

便秘は日常的に起きる症状の一つのために軽視されがちですが、何らかの病気が原因で引き起こされることもあります。
下記の症状が続いている場合には病気が便秘に関与している可能性があるため、できるだけ早めに当院までご相談ください。

当院では、日本消化器病学会の専門医・指導医による便秘の専門外来を行っています。

など


便秘とは

便秘とは排便の回数やリズムには個人差があり、便秘の感じ方も人それぞれです。毎日定期的に排便している方の場合は、3日間排便がないと便秘と感じることもありますし、一方で日頃から軽い便秘気味の方は、10日間程出ないと気になるという場合もあります。

一般的に便秘とは、「出したいのに出ない」「出てもすっきりしない」といった状態を指します。
便秘は若い女性に多く見られますが、男女とも加齢に伴って増加し、高齢者では男女差がなくなるとされています。日本では高齢化や生活習慣病の増加に伴い、便秘でお悩みの患者さんは確実に増えています。それに伴い、日本消化器病学会から慢性便秘症のガイドラインが発刊され、便秘症診療の重要性はますます高くなっており、最近とくに注目されています。

「たかが便秘、されど便秘」です。便秘が重症化すれば腸閉塞を起こす、さらには腸が破れる(穿孔)といった深刻な合併症を起こすこともあります。

最近の研究では、便秘の方は大腸がんや心疾患、脳卒中といったさまざまな病気を起こしやすいことや寿命にも影響し、快便の人の方が長生きするということも分かってきました。


便秘の種類と原因

機能性便秘

機能性便秘とは、主に偏った食事や運動不足といった生活習慣の乱れによって、自律神経のバランスが乱れることで引き起こされる便秘です。機能性便秘は以下の3種類に分類されます。

弛緩性便秘

弛緩性便秘とは、偏った食事習慣による食物繊維の不足や運動不足、腹筋の弱体化などが原因で大腸の働きが低下することによって引き起こされる便秘です。一般的に高齢者や若年女性、妊婦、普段から体を動かす習慣のない人などに多く見られる傾向があります。

痙攣性便秘

痙攣性便秘とは、過度なストレスの蓄積によって自律神経のバランスが乱れ、大腸が痙攣を起こすことで引き起こされる便秘です。一般的に若年層や日々ハードワークをこなしている方、ストレス発散が不得意な方に多く見られる傾向があります。

直腸性便秘

直腸性便秘とは、長時間便意を我慢してしまう習慣や過剰な浣腸の使用などが原因で排便のリズムが乱れ、引き起こされる便秘です。主に高齢者や痔のある方、寝たきりの方、毎朝慌ただしく行動する習慣がある方などに多く見られる傾向があります。

器質性便秘

器質性便秘とは、大腸がんや手術後の癒着といった、大腸の何らかの器質的異常が原因で引き起こされる便秘です。
器質性便秘を発症すると、以下のような症状が現れるようになります。このような症状が続いている場合には、速やかに医療機関を受診するようにしましょう。

  • 激しい腹痛
  • 血便
  • 嘔吐

など


便秘の検査・診断

便秘の検査・診断便秘の診察では、まずは問診で患者さんの生活習慣や現在服用中の薬、症状、既往歴などをお伺いします。その後触診や聴診を行い、症状の程度によっては血液検査やレントゲン検査、腹部超音波検査、大腸カメラ検査などを実施し、詳しい状態を確認します。特に大腸ポリープや大腸がんが原因の場合には、レントゲン検査などでは発見できないため、大腸カメラ検査が必須です。便秘の診断では、まず大腸カメラ検査で大腸がん等の器質的疾患を否定することが重要です。

当院では、経験豊富な内視鏡専門医・指導医である院長がすべての大腸カメラ検査を担当します。
また、当院の大腸カメラ検査では鎮静剤を使用することが可能です。鎮静剤を使用することで、患者さんは眠っているようなリラックスした状態で検査を終えることができます。患者さんの年齢や体格などに応じて、細かく鎮静剤の量や種類を調整していますので、きつくない大腸カメラ検査が可能です。
また、検査中に大腸ポリープなどの疑わしい病変を発見した場合には、そのまま大腸ポリープ切除を行うことや病理検査にかけ、更に詳しく調べることも可能です。

大腸カメラ検査に関して何かご不明な点がございましたら、ぜひお気軽に当院までご相談ください。

大腸カメラ検査


便秘の治療

便秘の治療排便は毎日ある必要はありませんが、便秘のために、「生活の質」の低下がある場合、治療を行います。具体的には、硬い便などによる排便困難、残便感、排便がないことによる腹痛や腹部膨満感などのお困りの症状があれば、治療を検討します。
まずは水分をしっかりとること、適度な運動、食物繊維の摂取をおすすめします。そのうえで、下剤の内服を行います。下剤には非刺激性下剤(緩下剤)と刺激性下剤があり、適切に使い分けることが大切です。

便秘薬は市販されているものもありますが、使い分けが難しいですので、自己判断はせずに、消化器内科への受診をお勧めします。また、最近では「上皮機能変容薬(ルビプロストン、リナクロチド)」「胆汁酸トランスポーター阻害薬(エロビキシバット)」といった新しい便秘薬もたくさん出てきており、治療の選択肢が広がっています。便秘の診療は、患者さんの排便状況を見ながら、数ある便秘薬の中からオーダーメイドで薬を選択・調整する必要があり、専門性が高い領域です。

当院では便秘の専門外来を行っています。便秘でお悩みの際には当院までご相談ください。

非刺激性下剤(緩下剤)と
刺激性下剤とは?

非刺激性下剤は、便をやわらかくする作用があり、「クセにならない」ため、便秘治療の基本となる薬です。
一方で刺激性下剤は、腸を動かすことで排便を促す薬で、漫然と使用すると「クセになる」という欠点があります。刺激性下剤は十分な量の緩下剤を用いても排便がない場合に限って使用する(屯用にする)ことが大切です。以下に、刺激性下剤の適切な使い方をまとめます。

  • 十分な量の緩下剤を用いても排便がない場合には、緩下剤を併用した上で刺激性下剤を屯用で使用する。
  • 連日のように刺激性下剤を服用している場合は、緩下剤を併用したうえで、刺激性下剤の使用回数をできるだけ減らす。ただし、刺激性下剤を使用する場合は効果のある十分な量を使用する。

女性は便秘になりやすい?

一般的に便秘は男性よりも女性の方がなりやすい傾向があり、日本人の女性の半数以上が何らかの便秘症状を経験していると報告されています。
以下が女性が便秘になりやすい主な理由です。

ダイエットの影響

短期間で無理なダイエットをしようとすると、急激な食事制限などによって水分や脂肪分が不足し、腸の働きが低下して便秘を引き起こします。

ストレスの影響

過度にストレスを蓄積すると自律神経のバランスが乱れて腸の働きを低下させ、便秘を引き起こします。また、ストレスの蓄積によってストレスホルモンの分泌が促されると、腸の水分バランスが変化して便が硬くなり、便秘を引き起こすことがあります。

体のつくりの影響

一般的に女性は男性に比べて腹筋が弱いため、大腸が便を排出する力も弱くなり、便秘症状を引き起こしやすいと考えられています。

女性ホルモンの影響

女性は女性特有のホルモンである黄体ホルモンの働きにより、便から水分が吸収されて腸の働きが低下したり、便が硬くなったりすることがあります。これにより、スムーズに排便ができなくなり、便秘症状を引き起こします。このような特徴は、特に月経前や妊娠初期に多く見られる傾向があります。


今すぐ便秘に効くマッサージ

便秘を解消するには、食事習慣の改善や適度な運動など様々な方法があります。マッサージも効果的な方法の一つです。
以下は自宅で気軽に行える効果的なマッサージですので、便秘でお悩みの場合にはぜひ実践してみましょう。

注意点

  • マッサージ中に違和感や痛みが生じた際にはすぐに中止しましょう。
  • 腹部に手術痕がある場合や妊娠中の場合には、自己判断で行わずに事前に医師に相談するようにしましょう。
  • マッサージを行っても便秘が改善しない場合には、できるだけ早めに医師に相談しましょう。

「の」の字マッサージ

効果

  • 腹部の血行を促進し、腸の働きを活性化する
  • 腸の蠕動運動を促進し、便を押し出す力を高める
  • リラックス効果により、ストレスを軽減する

やり方

  • 仰向けに寝て、腹部をリラックスさせます。
  • 腹部の上に両手を重ねて乗せます。
  • おへそを中心に「の」の字を描くように、時計回りにゆっくりとマッサージします。これを5分ほど繰り返します。

効果的に行うコツ

  • 腹部を圧迫しないように、優しくマッサージしましょう。
  • 食事の直後には行わないようにしましょう。
  • 腹部の張りや痛みを伴う場合には控えるようにしましょう。

腸のもみほぐし

効果

  • 腸内に蓄積したガスを排出し、腹部の張りを改善させる。
  • 腹部の冷えを防止し、腸の働きを促進させる。
  • 腸の蠕動運動を促進し、便を押し出す力を高める。

やり方

  • 仰向けに寝て、膝を立てて、腹部をリラックスさせます。
  • 両手の手のひらの部分で、腹部全体を優しく揉みます。これを5分ほど繰り返します。
  • おへそ周辺や下腹部を重点的に揉むと効果的です。

効果的に行うコツ

  • 腹部を圧迫しないように、優しく揉みほぐしましょう。
  • 腹部の張りや痛みを伴う場合には控えるようにしましょう。
  • 便秘時にはS状結腸がある左下腹部を重点的に揉むと効果的です。

便秘のよくある質問

便秘が原因でニキビができるのはなぜ?

便秘症状が長期間継続すると、腸内に溜まった便が腐敗し、アンモニアなどの有害物質が血液とともに体中に運ばれます。これら有害物質が皮膚の皮脂や角質と結びつくことで肌のターンオーバーを阻害し、ニキビなどの肌トラブルを引き起こします。

便秘だとダイエットしても痩せないの?

便秘が続くと、腸内に溜まった便によって悪玉菌が増殖して腸内環境のバランスを崩します。これにより、身体に必要な栄養素の吸収率の低下や新陳代謝の低下を招き、過剰な脂質を上手に排出できなくなって痩せにくい体質になります。また、むくみや血行不良を引き起こす原因にもなります。

便秘解消に食物繊維が良い?水溶性・不溶性の違いは?

一般的に食物繊維の摂取は便秘解消に効果的です。食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があり、水溶性食物繊維は便を柔らかくして排便を促す効果があります。一方、不溶性食物繊維は便の量を増やして腸壁を刺激し、腸の働きを活性化する効果があります。 以下は、水溶性食物繊維や不溶性食物繊維を多く含む主な食品です。

  • 水溶性食物繊維を多く含む食品:わかめ、昆布、ひじき、大麦、キャベツ、りんご、こんにゃく芋など
  • 不溶性食物繊維を多く含む食品:野菜全般、さつまいも、カボチャ、豆類、きのこ、カニ、エビなど

「旅行中だけ便秘になる」「平日は出ないのに休日は出る」のは便秘?

旅行など日常とは異なる生活習慣になると、ストレスや緊張、不安などの精神的な負担によって痙攣性便秘を引き起こすことがあります。大腸が痙攣を起こすと、便を押し出す働きが弱まるため、便秘を引き起こします。痙攣性便秘の多くは緊張状態がほぐれると解消します。